『なんで俺なんだとお思いでしょうね』
思わず思ってることを当てられてしまう。
『出来るだけ上役とは無縁の人に頼みたかっただけよ』
上役とは無縁の人...
重鎮供は社長の座を狙って
晩年の社長に媚を売って凄かったらしい。
社長はそんな奴等に社長を任せたくないと最後に言っていたそうだ。
ただ社長が未経験の娘の冬香さんだというのが問題だ。
それを知られれば重鎮供は黙っているはずがない。
持ち株全て売ってでも冬香さんを社長の座から引きずりおろそうとしてくるに違いないだろう。
まぁ
あの定年間近の部長に話した所で理解を得られないだろうし
マーケティングの部長はバリバリ仕事できる人そうで周りからの信頼も厚いだろうな
さっきの感じだと...現に社長も信じられる人にしか伝えてないと言ったし。
かといってそんな信頼のある人に頼める話でもなくマーケティングの業績はあの部長いてこそだと異動になる前にそう聞いていたから無理だ。
かといって他だ。
俺だったら
社長に近い存在程信頼はできやしない。
なるべく目立たない存在を選ぶだろう。
まず女は信用ならない。
女は話が好きだからな。
秘書にするには男がいいだろう。
かといって俺に結びつくのだろうか
『あなたの業績はあの定年の部長さんが横取りしていても気づいていましたよ』
『えっ?』
『仕事を見ての評価です。あなたは営業先でも先方さんに気に入られていましたし。仕事もできる。秘書の仕事もそういった事が多いです。上役の人を目にする機会があると思いましたからね』
社長はそれだけ言うと
パソコンをいじりだした。
