俺の目の前に春香と瓜二つの女がいる。
春香だと思えば声もそっくりだ...
その瞬間脳裏に10年前に閉じ込めた重たい記憶が呼び覚ます。
『━…...恭一!!』
俺の記憶の中の春香はいつだって笑って微笑んでいた。
頭の中で再生させる春香との思い出が...
いつも笑顔の春香の顔が俺は辛くて...
閉じ込めてしまった。
『あら私の顔になにかついている?』
社長の言葉に少し動揺しつつも我に返った俺は
『いえ』
と応えるしかなかったんだ。
昔の後ろめたさからか
春香と瓜二つの社長の顔がまともに見れない。
そんな俺に社長は
『あら?顔がよく見えないわ、顔を上げてちょうだい』
『っ!!』
そう言いいつの間にか俺の近くいた社長は俺の顔を今にも口と口が触れあいそうな距離で見てくる。
もし、この人物が春香なら
こうして俺に復讐してるに違いない。
こうしてじっくり顔を見て
俺がしたことを怨みどう仕返ししようか考えてるに違いない。
だが、この人物は春香と容姿が似ているだけ...
春香は10年前に無惨な死を遂げた。
生きているわけがない。
『社長私の方こそ顔になにかついておりますか?』
そう言い今にも触れあいそうな距離から一歩後を引く。
『フフっごめんなさいね。
あなた私の初恋相手に似てるの』
その一言で
思わず記憶がまたあの時に戻る。
『わたし...初恋なの』
頬を赤らめ俺に甘い告白をした春香を...
一度解放された記憶の扉は部屋の鍵をどこかに忘れてしまったみたいだ。
『春香...』
俺は思わず春香と瓜二つの社長の手を握っていた。
