『まっまぁタイミング悪かったな!
さっきは悪かったよっ
早く座れよ裕子』
和人が未だに震えている裕子を宥めると
裕子は震えながらも椅子に座り落ち着きを取り戻した。
『てか、皆会えたんだしいいんじゃね?』
もう面倒くさくなったのか登戸が言う。
いや、違う、
春香の件は皆触れたくないからだ。
あれほど裕子を攻めた和人でさえ
登戸に同調して無理してその場を盛り上げようとしてやがる。
それに合わせまみがノリよく合わせ
裕子も笑いながら手拍子をしている。
あの事件以来皆そうだ。
春香の話題は絶対にNG。
話題にしてしまえば
今みたいに何が楽しいのかわからないことでへらへら騒ぎ出す。
いつしか変わってしまった友情の形は
10年の時を経ても変わらず
ぐにゃぐにゃのままだ。
