『あら、お友達?
どうも恭一さんの上司の藤堂と申します!』
社長は驚く皆にお構いなしに挨拶をする。
一番先に声をあげたのは
春香だと怖がっていた和人だ。
『はる...かだよな?』
和人はその偽春香を見て頭が混乱している様だ。
『なに?あなたのお友達まで人を春香呼ばわりするのね!失礼しちゃうわ!』
社長は不機嫌そうに言った。
我に返った俺は
皆に軽く紹介した
『この人は俺の上司の藤堂さん。
名前も冬香さんと言うんだ。
俺も最初見たとき驚いたよ...』
俺の言葉で皆動揺しつつも納得し始める。
『そうよね...そんなはずないものね』
美和子が落ち着きを取り戻し椅子に座り直した。
『冬香さん、イメチェンしたんですね』
俺はまだこの人が藤堂化粧品の社長だと外部に漏らすわけにもいかないので
あえて名前で気になることを聞いた。
『そうなの、あの後美容院に行ってやってもらったの。少しは落ち着いたでしょう。』
『えぇ』
内心まどろっこしい格好をしやがってと思った。
髪を黒くした藤堂社長は
まさに春香そのものだったからだ。
『また冬香さんともあろう方がなぜこんな場所に』
『たまに来るのよここ
でも、なんだか気分悪くなったわ
昨日に引き続き知らない相手に間違われたゃうなんて全くだわっ』
藤堂社長はそう言うと嵐のように去っていった。
俺達に恐怖を与えといて...
ってあの人は別人なのだかや攻めようがないけどな...
