春香は驚く俺達をよそに
こちらにやってきた。
その時メンバーの誰かが
今日春香の命日と言った。
そうだ、今にも思い出したくもない
あの日の出来事。
全員春香の亡霊だと
和人なんかは
『ぎゃあああ、こっち来るなー』
と騒ぎ始めている。
この騒ぎに周りのお客さんも困惑していたが
それでも構わずやって来る春香。
ふわりと香るコロンの匂いが
あの時と同じだと俺は気付いた。
俺の好きな匂い。
春香の匂い。
こんな居酒屋でごった返した人の中にいたって10年前と変わらず春香の匂いは覚えている。
春香は俺の目の前に立ち
『恭一っ』
笑顔でにっこり笑った。
あの時と変わらない春香。
『春香...春香...俺っ俺っ俺っ!』
次に降ってくる言葉は
聞き覚えのある口調だった。
『なにっ?また春香?
あなたって学習力ないの私は冬香よ』
その言葉にみんな違和感を感じた様だ。
