そして差し出す白い紙。
『これはあなたの勤務表です。明日からよろしく』
俺はそれを思わず受け取ってしまう。
やばい、俺はここに元の部署に戻してほしいと懇願しに来たのに...
春香の亡霊にとりつかれ
動揺してしまったのが落ち。
俺は
『では、失礼します。』
一礼をし退室しようとしたところで
『あなた汗くさいわ』
社長の言葉に
あぁ俺はこの人にあの内気で純粋な春香の面影を見てしまったは間違いだと感じた。
春香に似て驚いたが
よく見れば化粧だって濃いし
服装だって胸元は開いて派手じゃないか
髪の毛は茶色く染められどこかのキャバ嬢みたいに巻き上げられている。
春香が生きていたら
こんな大人にはならない。
化粧もナチュラルで服装もおしとやかで
長い黒髪を靡かせながら
笑顔で微笑むだろう。
『次からはエレベーターを使い身なりをきちんとしなさいだってよっ』
散々人を振り回したくせに
さすがお嬢様だこと
お金持ちはわがままが多いってのはほんとだな、糞っ
明日からあんなのの秘書かよー
と思いつつ
この格好は改めて恥ずかしいと思い
帰りもなんだかんだあの階段を使って帰る俺であった。
