いつも同じ所に置いてある上靴を取り出して、履き替える。
 中央の階段をずっと上っていく。眩しくなっていく階段。

 普通はあいていない屋上は開かれた。

「...誰?」
 ふわふわの栗色の髪の毛が風に揺られている。
 大きな瞳はこちらに向けられ、胸が捕まれた気分になった。
「誰?」
 むっとした顔がこちらへ向かってくる。
 私は一歩、一歩と後ろに引き下がる。