午前8時。
 何故か私は普通にセーラー制服を着ている。テレビは大騒ぎしているというのに、妙に自分は落ち着いている。

『本日、このホシは高速に温度を上げ...』
 リビングに行けばこの報道ばかり。
 最後の新聞の見出しは『ホシ、爆発』と大きく書かれている。

「奈穂、なんで制服着ているの」
 親はお洒落をして、最期を迎えようとしている。最期だから綺麗にいたい。そう言っていた。
「なんとなく。とりあえず外行ってくる」
 この2年間履いていたローファーをコンコンと鳴らし、ドアに手をかける。

「行ってらっしゃい」
 最後の母の笑顔、最後の言葉、最後の
「行ってきます」