I line xx

目を開いてハルの瞳を覗く


そこには


色素の薄く綺麗な茶色のハルの瞳があった


優しくて幸せそうなハルの瞳


濁りのない綺麗な瞳に


目も心も奪われた


そんな表情をさせているのは


自分なんだと思うと


不思議な気がした


もがくのを辞めてハルを見つめる


そうだ


ずっと見たかったものが


こんな近くにあったのだった


彼の顔を心に刻むようにじっと見つめる


私が両手の力を抜くと


彼も私の手を握るのを辞めた


彼の手をすり抜けて


彼の頬に触れた


さっきまで冷たい空気に触れていた頬は


冷たくて氷のようだった


「冷たい。寒かった?」


彼にそう尋ねた


彼は何も言わずその手の平に唇をつけると


抑えていた手を重ねた


「愛果の手は暖かい。」


手のひらで感じる彼の唇


まるで手の平に柔らかな


愛しい物を見つけた様に


彼が口づけをするものだから


私はたまらなくなってしまう


ほんとにハルはズルい


「ズルいよハル。」


その言葉にハルが私を見つめる


「もう少しだけ愛果を近くで見たい


この手もこの顔もずっと見たかったんだ。」


そう言って笑った


その言葉は私を安心させるのに


それだけで充分だった


その通りだね


私もそうだよ


そう、わたしは答えた


「じゃ、ちゃんと見せて。」


私も笑顔で彼にそう呟いた


何よりも誰よりも大切な人


ずっと逢いたかった人がここにいる


夜の空気と混ざった彼の香り


懐かしくて愛しい


柔らかくて少し癖のある彼の髪


ずっと触れたかったものだった


それが今目の前にある