I line xx

「今夜彼女にプロポーズするつもりなんだ。」


そう言って彼は笑った


「お前も彼女大切にしろよ。」


そう言って彼は俺にウインクした



舞台の袖に着いた


足元から


会場の騒めきが伝わってくる


皆で円陣を組み


口々に声を掛け合う


隣りで肩を組んだ彼に言った


「ずるいよ、今夜俺だって


愛果に演奏するつもりなんだ。」


そう聞くとアメリカ人とのハーフの彼は


俺にだけ聞こえるようにヒューと口笛を吹いた


全く


奴らはズルい


俺が悩んでいる間に


すっと乗り越えて行ってしまうんだから


「good luck.」


そう言って彼は俺に向かって親指を立てた


その瞬間


ニューヨークの空の下


ストリートを歩く俺の姿が見えたんだ


「俺も今夜愛果にプロポーズするよ。」


そうだ


まだまだずっと先へ


俺は君と行きたい


地下鉄からの蒸気が上がる


マンハッタン


手が冷たいと言って


両手に息を吹きかける君


それは手を握って欲しいの


彼女の合図


俺は彼女の手を引き寄せる


隣りで微笑む彼女


そう、今の俺に圧倒的に足りないもの


それは君


今夜その前に彼女を演奏で幸せににてやらないと



君を幸せにしてやれるのは


俺しかいないんだから


どんなに騒めきが聞こえても


今、カーテンの向こうには


君が待っている


「今夜もよろしく。」


そう言ってメンバーに頭を下げた


顔を上げて彼等の顔を見る


何時もの笑顔がそこにあった


もう大丈夫


会場に流れていたBGMが消えた


スタッフの合図とともに


舞台へと向かった


俺一人じゃない


仲間の一緒だった