I line xx

日差しがあるうちから熱気に包まれた会場にいたから


外の寒さに全く気がつかなかった


猛暑の影響か今年は十月を過ぎても暑い日が多くて


忙しさにかまけて


今朝も長袖シャツにジャケット一枚


スリーシーズン用のパンツで電車に飛び乗った


電車での移動ならそれでも暑いぐらいだ


栄の地下鉄の駅から少し離れたビルに最近できたばかりの


ライブハウスだったから


九時を過ぎた街路はすでにネオンも消えて


光はまばらだった


街灯をさえぎる街路樹の葉がこすれて


茶色く色を変えた落ち葉を


足元で音を立てて通り過ぎていった


そこから足元を登って寒さが押し寄せてくる


それが愛果を余計に恋しくさせ


歩く速度は自然に早くなった


久屋大通駅から愛果の勤める会社までは二駅


駅までの道のりと電車を待つ時間を考えたら


多分、歩いたほうが早く目的地に到着しそうだ


もしかしたら彼女に逢えるかもしれない


連絡をする時間よりも


愛果が移動する時間を考えたら


自分が移動する方が早い


そう思った


正直アプリケーションを使えば


いつでも繋がっていられる


でももう、いい


俺は一分でも一秒でも早く愛果に会いたかった


彼女をこの腕で抱き寄せ、幸せにしてやりたかった


俺の心の中にいつも柔らかい幸せを創り出し


下らない奴らのどうしようもない態度や


理不尽で腹の立つ時も


俺の心を一瞬にして温かく包む君を


もう誰にも渡したくない


本当は今すぐ君を連れて俺の住む部屋へと連れて行きたかった


心の中で言い出せないその言葉が溢れ出そうになり


俺を走らせた