I line xx

ステージの上で眩しい光を受けて

大人の笑顔を見せるハルを

行き交う人の間から見つめていた愛果は

それでも彼が

沢山の人達に認められていくのが

何より嬉しかった

ステージの下で綺麗に着飾った女の子が

ざわめきを上げている

パームビーチで演奏していた時から

そんな女の子達を沢山見てきた

増加してさらにパワーアップしている

今日のステージはこれで終了らしい

スマホの時計は九時を回っていた

終電にはまだ時間があったが

このお祝いの雰囲気だと区切りがつくのは

時間がかかりそうだ

入場料にドリンク代が入っていたのを思い出し

カウンターに行って

ジンの入ったカクテルを注文した

イベントが終わったので

注文する人はまばらで退屈そうな店員に話しかけた

「すごい人ですね、びっくりしました。」

イベントがほぼ終盤ということで安心した彼は

「彼は名古屋の出身なんですよ

近くのお店でずっと演奏してて

コンテストでスカウトされて

去年から東京に拠点を移して活動してるんです。

深夜なんだけどラジオの番組もしてるんですよ。」

そう教えてくれた。


知ってるよ

そう言いたかったけど

驚いたふりをして話を聞いていた

全く別人の話を聞いているようで

楽しかったのだ