白い狐は出会いの季節





ガラッ、教室のドアを開けた。



特に何事にも巻き込まれることなく無事、登校できたみたいだ。


まあ、この学校、教室が一番危険だと思うのだが。





「「……!!」」



一瞬にして、教室の空気が張り詰まった。


入る前まではザワザワしてたはずだ、昨日よりはおとなしいようには感じたけど、少なくとも今よりは騒いでたはず。



クラス全員の目線が私に向く。
あまりに、多すぎて緊張も恐怖も通り過ぎて、逆に冷静になっていた。



なんで、注目されなきゃいけないんだ?
あぁ、私が転校生だから?



ん?違うな、私が昨日、相当荒らしたらしい不良グループ「曇天」。そのメンバーはこの教室にもいるはずだ。





「え、と、おはよう、ございます?」


間抜けな声が出た。



ガッ、体に強い衝撃を受けた。



「てめぇッ!!!!!!!


てめえのせいで俺らは今大変なんだぞ!?!!!???間抜けな顔しやがってっ!!!!!!!!!!!!!」



どうやら胸ぐらを掴まれたらしい。体が若干浮き、かかとで立つのがやっとのぐらいだ。



上手く呼吸が出来ず顔をしかめる。



そして、昨日感じた恐怖をまた、思い出す。




でも、恐怖と共に、新たな感情も芽生えた。




「……。」



「あ??

あんだよその生意気な目、睨んでんのか??全然怖くねぇよ舐めてんのか俺ら曇天の事!!!!」



怒りだった。


いや、頭冷やして考えてみろ。私が曇天潰したこと100万歩譲って認めてやる。

だが、あの場に私が居なかったら。


「僕がなんとかしましたが」


精神世界に居た「誰か」が居なかったら何も起こらなかったはずだ。


なんで私があんなクソッタレ見たいな場所に居たか?お前らが八つ当たりでこの私を拉致ったからだろう?