白い狐は出会いの季節




「花楓ー!!!ご飯よーー!!」



えっ!?姉さん!?


「はーい、今いくよ。」



今日は姉さん朝もいるのか。


姉さんは大体私が登校した後にかえってくるから、いつもすれ違ってしまう。


でも珍しい時は今日みたいに朝ご飯を一緒にできるのだ。



「昨日大丈夫だった?花楓の学校族が多いって聞いたから……。」


ギクッ、肩に一瞬力が入って強ばる。


「あー、えっと、なんか凄かったよ?いかにも不良ですーって人がいっぱいいて。」



私は一瞬白狐組の事を話そうかと思ったが、そう易易と人に話してはいけないんだろう、と制止を自分にかけた。



「気をつけなさいよー。ここら辺だと暴走による交通事故とか、抗争に巻き込まれて大怪我とか、あぁ、繁華街は特に危険ね、花楓なんかすぐに攫われちゃうんだから!」



うっ、さっきから図星をつかれまくって胃が痛くなって来た。


言えないよなぁ、攫われた挙句、族を壊滅状態に
までして、白狐組に入るかって誘われてるだなんて。




「花楓、族になんか入っちゃダメよ。花楓は幸せになるためにここに来たんだから。自分の人生棒に振るような選択をしないでね。」



……。

なんだろ?デジャヴュってこういうことを言うのかな?



「最初からそんな気は無いよ。じゃ、行ってきます!」



私は自分自身に確認の意味を込め、答えた。










後悔のない選択、人生を棒に振らない選択、ねぇ。





「もう既に、選べない気はするんだけど。」