白い狐は出会いの季節

「もっと真唯の事知りたいな...。」


私らしくないことを口に出す。


...私らしくないこと？







たいして自分の事知らないくせに。



ゾワッ、背中に鳥肌が立つ。




「早く真唯帰ってこないかなぁ。」



私は窓に目をやる。


まだ春だ。校庭の桜が咲き誇っている。


本当に変な時期に転校してきたんだな、改めて思った。


田舎の学校では隣が竹林だったから、こんな近くに桜は見れなかった。



綺麗だな。

絵の具なんかじゃ表せないほのかな薄ピンクが花びらに一つ一つのっている。


窓を開けて手を伸ばせば届くんじゃないかな？


私は窓の鍵に手をかけて鍵を開ける。



窓を両手で開ければくすぐったいような、暖かいような春の風が私を包む。




うわぁ、意外と遠いな。


さっきまで手を伸ばせば届くんじゃないかと思ったが、そんなこと無かった。


腕を伸ばしてみても、あと二倍ぐらいの長さは必要なぐらい届かない。


「...。よし。」


私は何かを決心し、窓からギリギリ身を乗り出してみた。


...。駄目だ届かない。


...でも。


「...おぉ。」


さっきより桜が近くに見える。


...可愛い。綺麗だな。