そもそもこの学校、私立小鷹高校(しりつこだかこうこう)の学力のレベルは相当低いらしい。


だから高校と名が付けばどこに入ってもいいという人がほとんどこの学校選ぶ。


そして全体的に学力が下がる。


この悪循環からここ近年抜け出せないらしい。


だから試験なしでこの学校に編入出来たのか。
私は一人で納得した。



「部活動もあるにはあるんですが、ほとんどの人は族に入っていたり、不良グループとして放課後集まってたりで...。」


「不良って、見た目だけじゃなかったんだ...。」


どうやら都会の学校はそういうのもあるみたいだ。


私は田舎者だから詳しくはないが。


...正直言うとここ最近の記憶も曖昧なのだが。



「でもここ一応学校だし。やっぱり勉強しないとダメ...だよね?ここの学校に図書室ってある?」


「あー。」


真唯は頭を抱えた。


何か悩んでいるように見える。


「ありますよ?一応...。でも図書室は不良グループの溜まり場になっていて...。」


真唯は言葉を詰まらせる。


その様子を見てたら本当に真唯が苦労している事が分かる。


だって真唯って絶対真面目な人だよ。


何も知らない私に言いづらい事だって教えてくれるんだから...。


「な、なので図書室はやめた方がいいと思いますっ!...って桜井さん?なんで笑ってるんですか?」


「そんなに僕変でしたか...?」と真唯が目線を逸らす。


気がつけば頬が緩んで目を細めてた。


この学校に来てずっと気を張りすぎてたから、真唯と話して少しリラックスしたのかもしれない。


「えーっとね、真唯は優しいな、って思ってた。」


「?!?!!!」


真唯は目線どころか顔をそむけてしまった。


「あ、あ、ぼっ、僕勉強にぴったりな教室に心当たりがあります!」


「おぉ。」


「あ、案内しますね!」


真っ赤になった真唯は言葉を出てくるままに紡ぐ。


それが私の為なんだと思うとやっぱり嬉しい。



キーンコーンカーンコーン...。



一時限目のチャイムが鳴った。


しかしそれに反応する生徒はいなかった。


ただ、私と真唯だけはある程度の荷物を持って教室に移動していた。