白い狐は出会いの季節

「さっきも転校生といい子ぶりやがってっ!!」


プツ...。



頭?こめかみ?そこら辺から何かが切れる音がした。


転校生?それって桜井さんの事だろ?




僕の中で何か黒いものがふつ、ふつと沸いてくる。



桜井さん。桜井さんの事。


腕に抱えた物をぎゅっと抱きしめる。




「ここは学校です!桜井さんと勉強してたっていいじゃないですかっ!!!」


気づいたら叫んでいた。


初めてだ。男子生徒に絡まれてこんな大声出したの。



ぐっと大柄な男子生徒はうろたえた顔からまた睨みなおし、これまでにない大声を出した。


「目障りなんだよっ!!!俺ら曇天の前でよっ!!!!」





男子生徒が拳を握り飛びかかってくる。



曇天は喧嘩が強く、ここの地域じゃNo.1の実力を持つらしい。


固くまぶたを閉じた。


大丈夫、ただ青アザがまたできるだけ。


...でも桜井さんに心配かけるのはいやだなぁ。