やがて、風景は薄れてきた。
だけど、その中でも彼の姿ははっきりと分かった。
飴の味は無に等しかった。ジュワジュワと溶けていくのと同時に彼が喋っていた。
「孝雄、今まで何もしてやれなくてごめんな。友達失格だよな。」
「今度、お詫びに何か奢らせてよ。」
「孝雄、それとクラスの皆もしっかりと反省してくれたから何時でも良いから来てくれないかな。」
すると風景は教室に変わった。皆が申し訳なさそうに僕の方を向いていた。
「ちょっと言い過ぎちゃったな。でもね、私、君を虐めようとかそんなの思ってなかったんだよ。ただ何時もの癖が出ちゃって…
私、本当に君が来なくなった時反省したんだ。癖を直して、性格も変えなきゃってさ。」
すると、次に映し出されたのはあの時のロングホームルームだった。
場面は僕が居なくなって数分後を撮っていた。しかし、誰も笑ったり、楽しいロングホームルームをしてはいなかった。
僕はこの時始めて自分の愚かさに気付いて落胆した。
間違っていたのは自分だった事。
誰も虐めていなかった事。
勝手に逃げていたのは自分だった事に。
僕が学校に行って居ないときの彼等の言葉などが頭に過ぎった。
「昨日の言動反省してくれないかな。友達だから。」彼の真剣な眼差し。
「私達さぁ、あの後謝りたかった。やっぱり私等のクラスは全員居ないと楽しくないじゃない。だから戻って来て欲しいな。」
皆、何時もの日常を送っていなかった。
僕を忘れてくれていなかった。
♧
「お客様。まもなく着きますよ。」
「大事な物、忘れてないか確認してく
ださいね。」
僕はもう一度車内を見つめる。だが、そこにはさっきの様な風景は見られない。
ふわり。椅子が少しばかり動いた様な気がした。動いた方を見ると何か影が浮かんで見えた。
ほんの一瞬ばかりだが、僕を温かく見守って、ニコニコした母の影だったのかもしれない。
だけど、その中でも彼の姿ははっきりと分かった。
飴の味は無に等しかった。ジュワジュワと溶けていくのと同時に彼が喋っていた。
「孝雄、今まで何もしてやれなくてごめんな。友達失格だよな。」
「今度、お詫びに何か奢らせてよ。」
「孝雄、それとクラスの皆もしっかりと反省してくれたから何時でも良いから来てくれないかな。」
すると風景は教室に変わった。皆が申し訳なさそうに僕の方を向いていた。
「ちょっと言い過ぎちゃったな。でもね、私、君を虐めようとかそんなの思ってなかったんだよ。ただ何時もの癖が出ちゃって…
私、本当に君が来なくなった時反省したんだ。癖を直して、性格も変えなきゃってさ。」
すると、次に映し出されたのはあの時のロングホームルームだった。
場面は僕が居なくなって数分後を撮っていた。しかし、誰も笑ったり、楽しいロングホームルームをしてはいなかった。
僕はこの時始めて自分の愚かさに気付いて落胆した。
間違っていたのは自分だった事。
誰も虐めていなかった事。
勝手に逃げていたのは自分だった事に。
僕が学校に行って居ないときの彼等の言葉などが頭に過ぎった。
「昨日の言動反省してくれないかな。友達だから。」彼の真剣な眼差し。
「私達さぁ、あの後謝りたかった。やっぱり私等のクラスは全員居ないと楽しくないじゃない。だから戻って来て欲しいな。」
皆、何時もの日常を送っていなかった。
僕を忘れてくれていなかった。
♧
「お客様。まもなく着きますよ。」
「大事な物、忘れてないか確認してく
ださいね。」
僕はもう一度車内を見つめる。だが、そこにはさっきの様な風景は見られない。
ふわり。椅子が少しばかり動いた様な気がした。動いた方を見ると何か影が浮かんで見えた。
ほんの一瞬ばかりだが、僕を温かく見守って、ニコニコした母の影だったのかもしれない。

