憂鬱な15才の春。



「学校始まるなー…」


私は、鈴木亜矢音。



まだ15年しか生きてないけど、今この瞬間がとてつもなく憂鬱。



本命だった志望校には落ちて、行きたくもない高校に進学する事になった。

「はぁーーー…」


深いため息が出る。

私の心の色とは裏腹に、ピンクに輝く桜がうっとうしいとさえ思った。



「さー…帰って制服でも合わせてみよー。」



私は家に向かって歩き始めた。


その時、自転車に乗って桜の木を見上げてる男の子が目に入ってきた。



「(見とれてる…)」



変な人。桜ってそんなに綺麗かなー。


私は何も気に止める事なく、その場を去った。




家に着いて、着たくもない制服に袖を通した。


制服はかわいいんだよなー。でもみんなと離れ離れの学校に行くなんて…。





そう、私は受験に失敗した。中学時代いつも一緒にいた6人組。



みんな同じ高校を目指してた。でも…あの合格発表の日。





私だけダメだった。


なんで?!なんで私だけ?あんなに頑張って勉強したのに!!
みんなと同じようにやってたのに!



頭に浮かぶのは疑問だけ。


今でも思い出すのが嫌だ。



「早く高校卒業して、大学ではみんな一緒に行こうって!なっ?落ち込むなよ。亜矢音。」



そう言って私を慰めたのは、1番の男友達の「孝則(たかのり)」。



「孝則…。」



「毎日メールするってー。別に外国行くわけじゃねーんだから、いつでも会えるってー」



「うん…」



淋しいけど、頑張らないと。明日からの新しい生活。




……そういえば、桜に見とれてたあの人。


同じ年位みたいだけど、あの学校かなー。



まーどっちでもいいけど。



明日は早く起きて、ゆっくり行こう。



入学式。遅刻しちゃいけない。