その恋、逃亡中。


「もったいないよ。洗えば…」

「ダメだ。どこかへ捨てなければ。焼いてしまえば、なおいいのだけれど……」

と意外に強い口調で、信二は、くるみの言葉を遮った。

「焼く?なんで?」

「………………」

しかし、彼は返事をせず、部屋の隅にある流しに立ち、水道の栓をひねった。