「でも、破らなくても……、それに、信二のワイシャツだって……」 彼は、その言葉で、始めて気がついたように、自分のからだを眺めた。そして、血を認めると、素早く、それを脱いだ。 「これ、捨てよう」と、彼は言った。何かが脱落してしまった声である。