《どうしたのだろう……》 と、彼女は接吻に応えながらも、意識の片隅で考えていた。こんなことは、いままでに、一度もない……。知り合った最初のころ、彼がくるみに夢中になっていたときでさえ、部屋にはいるなり、物も言わずに接吻を求めるようなことはなかった。しかも、いま、彼は別れ話を持ってきたのだ。少し、様子がおかしい。