「温ちゃん。温ちゃーん？」



「…はっ！」



姫桜の言葉で我に返る。



「考えすぎないでって言ったのに…
っふふ。…考え過ぎちゃうのが温ちゃんらしいけどね。」



「ねえ、姫桜。考えたけど浮かばなかったんだ。
あっ…でも、ただ恋人が欲しかったってのもあるのかも…」



私に答えは出なかった。
あの日は本当に思い付きで、だから誰でも良くて。



「そっかぁ…成程ね。じゃあ…もうそれは置いといてお昼、食べよう！」



「えっ、もうお昼…？」



時計を見てみると、もうお昼の時間だった。
珍しく授業に集中したり考えたりしていたせいで、何時もより早く感じた。



「よし、食べよー！」



姫桜は自分のお弁当を取り出すと、手を重ねる。



「？温ちゃん？食べないの？」



「ん、ああごめんね。」



私もお弁当を取り出して手を重ねる。
すると、姫桜は言った。



「よし、いただきます！」



姫桜は、そういう所を気を付ける子だから私が出すまで待ってたんだろうな。
何でも食べる姫桜に少しだけ申し訳無さを感じながら、小さく呟いた



「いただきます。」



お箸で全てのおかずを一つ一つ取って食べる。
その時はやっぱり幸せだ。



お弁当を食べ終わり、窓の外を眺める。
昨日より綺麗な青空を絵に描きたい気分だった。