部活に早く来過ぎて、1人でやる事も無く暇だったので、静かに絵を書いていると、部長の秋先輩が顔を出した。



「おーっ?早いな!木下!」



「秋先輩。」



秋先輩は相変わらずテンションが高く、そのノリに少しだけ付いていけない。



「木下、元気ないけど…どうしたの?」



「ほら。」



秋先輩は、お茶を僕に渡してきた。



「お金余ったから後でばーちゃんにあげようと思って買ったんだけどさ。木下元気無さそうだからやる。…あ、お茶嫌いだったらごめんな?」



なぜかこの時期に温かいお茶を手に取ると、折角少し涼しかったのに一気に、暑くなった。



「大丈夫です。ありがとうございます。」



「一応、先輩だからな?あっ、皆には内緒だから!」



いつもは鬱陶しい秋先輩が、今だけ。今だけ優しく感じる。
まぁ、元々優しいんだけど



「分かってますよ。」



「じゃあ、他の部員も待つか!」



秋先輩も、絵を描き始める。
秋先輩の絵は、何処か可愛くて、でも上手な、そんな絵だ。



二人で絵を描きながら待っているとだんだん他の部員達も集まってきて。



残り来ていないのは、一人だけとなった



「もうすぐ開始時間だから…科世君。お願い。」


「槙乃がまだ来てないなー…でも開始時間過ぎちゃうから。
開始の挨拶だけしちゃおうか!…ごめん槙乃!」



来ていないその人に謝って、秋先輩は始めの挨拶をする。
今日は自分の好きな場所を描くということで、それぞれ別の場所へと散らばった。



教室はまた、一人だけになった。
絵をもう1度描こうと仕切り直しをしようとした時、声が聞こえた。