「…はー、寒…」



早く着過ぎたのか、彼奴は来ないし。
寒いし。



「ママー見て!いっぱい石あるよ!」



石を見つけて喜ぶ子ども。
冬の近づきを知らせる風。



そう思うと、待ち時間も少しは楽しいかも。



震える右手を左手で掴み、寒い中じっと待つ。
そんな事を繰り返している内に暫くして彼奴が走って来た。



「…好きな人が出来たので嘘の恋人辞めませんか。」



待ち合わせ、その場所に遅れて来た此奴の一言目はそれだった。



「…は、え?」



余りの驚きに、私は変な声が出てしまった。



「…反応、してくださいよ。」



少しして、彼が反応を急かすので
取り敢えず状況を整理する。



整理して出た私の答えは、これだった。



「 良いよ。別れよう?…その代わり、
私のが君より先に本当の恋人作ってみせるから。」



だって、だってムカつくじゃないか。
…そりゃあ、この関係を切り出したのは私だけど、



付き合っといて今更別れようって、…そっちもそっちじゃん!



「…はぁ。受けて立ちますよ。」



こうなったらもう勝負だ…!
覚悟しとけよ!