恋 × 練習

「…やっほ。」



部屋に来てみると、毛布に包まってそっぽ向いてる人がいる。
寝てるんだか、寝てないんだか知らないけど。



「いつもの元気で訳わかんないお兄ちゃんはどうしたの?」



これで聞かれてたら最悪なんだけど。
ああ、でも、聞いていなかったら意味無いか。



「起きてるの?」



「起きてる。」



「…はぁ。」



起きてたのかい!とか、突っ込みたかったけど。
今はやめとく。



「さっきさ、何があったの?」



「…色々?」



話したくないのか知らないけど。
色々は無いって。



「な、姫桜。好きって何かな?」



好き、か…。
秋は、本当にいきなり訳分からない事を言い出す。



「じゃあ、私が話せば秋は何があったか教えてくれるの?」



少し、意地悪な質問だっただろうか。
どうせ、嫌だとか言うと思ってた。



「あー、うん。」



「は。」



返事は、予想とは違っていた。



もし、それだけで秋が話してくれるなら、私は



私の 好き を話してみようと思う。