「秋ー、今日の帰り帰る人とかいる?」



突然姫桜にそんなことを聞かれた。
いつもと同じで帰りは基本1人だし、いきなりなんだろう



「居ないけどー?」



「そ、なら温ちゃんと帰って!」



「「えっ。」」



2人で声を揃えて驚いてしまう。



「大丈夫だよ姫桜。それに姫桜は?」



「危ないからだめだよー!私は帰る人居るから大丈夫!」



危ないから俺が一緒に帰るなんて、姫桜も凄いことを考えるなとか
少しだけ尊敬してしまう。



あれ?でも木下は居ないのか?
そんな事を疑問に思ったけど、触れては行けない気がして言わなかった



「それならりょーかい。んじゃ、帰るか!」



「それでよし!」



にししっと何時もの様に笑うと、手を振ってどこかへ行ってしまう。
全く、どんだけ槙乃が好きなんだよって。



「何か、申し訳ないです」



「いいよいいよ。こっちこそなんかごめんなー?」



いつも姫桜がお世話になってるからという思いも込めて伝えてみる。



「いえ。ありがたいです。」



「そっか。」



「でも、秋先輩って、姫桜と兄妹だったんですね。意外です。」



意外と言う言葉は言われ慣れてるけど、改めて言われると少し凹む。



「おれ、兄っぽく見えないよなー。」



「そんな事ないですよ。部長としてもちゃんとやってくれてるし…!」



嬉しい事を言ってくれるから嬉しくなって照れてつい笑顔が出てしまう。



「ありがとなー!あんまり言われないから嬉しいな。」



「……はいっ、!ってあれ…?家ここじゃ無いんですか?」



このままバレずに遠回りして送っていこうかと思ったけれど、姫桜と一緒に帰っているだけあって分かってしまう



「危ないから送っていく。ほら、な?」



手をひいて、にこりと微笑む。
この位暗くなって来ると、流石に危ないし。



姫桜は他の人と帰るらしいし、
待ち合わせにも間に合うだろうし、大丈夫だろ。



取り敢えず俺はこのまま送って行くことにした。