「遅くなってごめんね!後、突然呼び出してごめんね?」



「大丈夫です。話したいことって…何ですか?」



私は部活終わりの放課後、理由を聞く為に木下君を呼び出した。
温ちゃんは兄と帰るって言うから安心だし。



「あぁ、今話すね…?それにしても、2人だけで話すのって久しぶりだね。」



にこりと、笑顔で話しかけると、木下君は不機嫌そうにした。
私、何かしたかな…?



「いいから、早くしてくださいよ。」



「っふふ。ごめんね?…理由を聞きたかったの。温ちゃんと付き合って別れた理由を。2人が付き合い出したきっかけは知ってるんだけど…木下君の理由が知りたくて。」



木下君は驚いた顔をした後、また不機嫌そうにした。



「先輩が話したんですか?」



「うん。教えてもらったの」



「じゃあ、答える代わりに僕の質問も聞いてくれますか?」



「うん。聞くよ。」



木下君の事だから、何を聞いてくるか分からないけど。
温ちゃんの為に答えるしかないかな。



私が頷くと、木下君は口を開いて話を始めた。



「僕には、好きな人が居ます。優しいけど、優しくない。そんな人です。
僕は…考えました。僕が先輩と…付き合ったら。その人は妬いてくれるんじゃないかって。」



「でも。」



「そんな期待、するだけ無駄でした。」



「その人は、僕を知らないかのように先輩に接しました。
だから、もう無理だと分かって別れた。それだけですよ。文句ありますか?」



正直びっくりした。
理由がそういう事だったなんて。



「ごめんね。」



もう、それしか言葉が出なかった



「どうして、どうして謝るんですか?馬鹿ですね。貴方のが先輩なのに。
じゃあ僕から質問。良いですよね。」



私は、唾を飲み込んだ。



「…あの時、なんて言ったんですか?」



「僕を名前で呼ばない理由は何ですか?」



質問の内容が分かっていたから。