「先輩、放課後話があるんで…
帰った後に公園で待ち合わせしませんか?」



私には付き合っていない彼氏が居る。
皆には付き合っていると言ってるけど、本当の恋人では無い。



5ヶ月で相手は後輩。



そんな彼が私に話…?
今更私に何の用だろうか。



知ってるのは2人だけだし…誰かにバレたとか…
考えても分からないから、すぐに考えるのは辞めた。



「温ちゃん!帰ろっ!…ってあ。木下君と帰るの?」



「ちが「違いますよ。邪魔してすみません。」…はぁ」



此奴は一々面倒くさい。



「もういいから姫桜。帰ろう?」



面倒な後輩は置いて、もう私は帰ろう。
どうせまた、会うんだしね。



「あ、うん!」



適当な話をして帰っていると姫桜が思い出した様に言った



「そう言えば温ちゃん達って一緒に帰らないね?」



これはまた随分と今更感のある質問をしてくる。
でも、言われてみれば彼奴と帰るなんて考えた事も無かった。



大体何で私が唯一休める時間でさえ、
彼奴に奪われる事を考えなくちゃいけないんだ。



「まあ予定があるから、それぞれ」



全然予定なんてないから、二人で帰ろうと思えば二人で帰れるけど



「そうだよね!それに二人で帰っちゃったら私、温ちゃんと帰れないもんね…」



「そうだよ!私も姫桜と帰りたいしね」



これは本当の話。彼奴なんかより姫桜と帰った方が断然楽しいから。


「温ちゃ~ん…!…あ、じゃあここでね。ばいばい!」



「あ、また明日ね!」



軽く手を振って家へと消えていく。
姫桜の家は学校から近くて、羨ましい。



遠いには遠いからこその発見があっていいんだけど。



「よし、早く帰るか。」



彼奴を待たせたら煩いだろうと、思って家へ向かう足を少しだけ早く進めた。