「入りなさい」



紫月が言う。



「失礼します」



葵と同じブルーのラインの入った男子生徒が入ってきた。



「葵、同じクラスの宇津木 恭臣(やすおみ)だ。この男は担任の斎賀(さいが) 幸太郎」



「よろしくおねがいします」



頭を2人に頭を下げると絹のような髪が顔にかかる。



そんな葵を紫月は見て笑みを浮かべた。



この学園に慣れて家族を亡くした辛さを忘れてくれればいい。



時折、葵は悲しげな表情になる。



そんな時、両親や美緒の事を考えているに違いない。