「し、紫月、ダメ、降ろして 紫月は足怪我しているんだから」


「葵を抱いて歩く位大丈夫だよ」


紫月はそっと微笑んだ。


紫暗色の瞳に吸い込まれそうになる。


「紫月・・・」






「愛してる 葵・・・」


ベッドに降ろした葵の黒目がちな目を見つめながら言う。


「あたしも 愛してる まだ夢を見ている気がしちゃう・・・」


「夢じゃない これが夢だったら俺は気が狂う・・・」


お互いの瞳に囚われたまま動けなかった。


「紫月・・・もう何も言わないで・・・」


葵は自分から紫月に腕を差し出した。


「もう絶対に悲しませないよ 葵・・・・」