榊は思わず手を伸ばして葵の華奢な肩を抱きしめていた。


それは何の意図もなくただ大人が子供を慰めている抱き方だった。


「みんなが付いている、俺も宇津木氏も恭臣君も・・・みんなだ 君は紫月の分まで生きるんだ」


葵はせきを切ったように大声で泣き始めた。






その後、貴子が食事を持って現れると葵は少しながらも食べ2人を安心させた。


「まだ下に人はたくさんいる?」


榊がうんざりしたように聞くと貴子は頷いた。


「当主が亡くなったばかりなのにあの人たちはハイエナのようにうろついています」