「大丈夫よ 葵 私たちすぐに死んでしまうのだから」


助手席から振り向いた母親の頭からおびただしい血が流れていた。


「きゃーっ!!!!!!」


葵は恐怖で叫んだ。







ハッと目を覚ました。


「夢・・・・・・・」


ポロポロと涙が出てきて枕を濡らす。


「パパ・・ママ・・・美緒・・・」


喉元まで吐き気がこみ上げ洗面所へ走った。


吐き出してしまうとぐったりと床の上に座る。


(夢だから・・・夢だから・・・)


葵は忘れようと必死に自分に言い聞かせる。


両手を前で組んで口元に持って叫びたくなるのを抑えた。