女店長が紫月の婚約者用に考えていたドレスはどれも大人っぽいものばかりだった。


無理もない。


葵のように若い婚約者だとは思ってもみなかったのだ。


用意したドレスを着てみせるが紫月は首を縦に振らない。




「紫月、何が気に入らないの?」


葵はもう8回ほど着替えてだんだんとめんどくさくなってきた。


「どれも葵には大人過ぎる」


(どうせあたしは子供ですぅ・・・)


紫月の言葉に心の中でふてくされる。


紫月がソファーから立ちあがった。



「手間をとらせたね 葵にはこの店のドレスは合わないらしい」


女店長にそっけなく言うと葵の腰に手を回した。



「お、お待ち下さい」


女店長はすぐに帰ってしまいそうな彼らに慌てて言った。