旅館の前に車を着けると同じ着物を着た人たちが大勢出てきて一列に並ぶのを葵はポカンとした表情で見ていた。



「葵、行くぞ?」



車の鍵を年配の男性に渡すと葵を振り返った。



足早に紫月の元へ行く。



「Why are there this many women?」
(どうしてこんなに大勢の女の人がいるの?)



葵が紫月のTシャツを掴んで呼び止めた。



英語にしたのは日本語でそれを聞くのが恥ずかしかったからだ。



そんな葵に紫月がフッと微笑んだ。