「妹の唇にキスなんかしないだろ」



抱き寄せられると少し青白い顔の葵の唇にキスを落とす。



「君が高校を卒業したら結婚を申し込むつもりだった」



「結婚・・・」



頭がうまく回らない。



「君に好きな男がいても無理やり日本へ連れて帰ってこようとね」



「あたしの好きな人は昔から紫月だけだよ」



漆黒の瞳は昔から紫月しか見ていなかった。



紫月しか見えていなかったから他の男のは恋愛の対象ではなかったのだ。