「葵は?」



紫月が恭臣に聞いた時、カーテンの奥から校医が出てきた。



「理事長・・・熱がどんどん上がっています」



「金沢先生、榊を屋敷によこしてくれ」



紫月はベッドに寝ている葵に目を移した。



葵は苦しそうな呼吸を繰り返していた。



葵・・・・。



紫月はシーツに葵を包むと抱き上げた。



紫月の喉元にかかる葵の息が熱い。



車で屋敷に戻る間も、葵の意識は混濁していた。