ぺらぺら喋りながら手も同時に動いている母は、すでに洗濯物を半分近く畳んでいる。


「あんたは表情も感情も分かりにくいけど、自分が心を開いてる相手には些細な変化もちゃんと伝わってるだろうし。その子だって気づいてくれてるってさっき言ってたじゃない。だから北斗をきちんと解ってるんじゃないの?」

「え?」

「北斗が本当は感情豊かで優しいってこと」


なつみさんとの経緯なんて一言も話してないのに何で母は分かるんだろう…。


「何で分かるんだって思った?」

「うん」

「分かるわよ。あれだけニヤニヤしてるんだもん。あんたがちゃんと心を開いて相手を知ろう、相手に自分を知ってもらおうって思ってるからこそ、それが表情に出るんだから」

「すげえ」

「だてに育ててないからね」


二十一年、俺を育ててきた結果って事か。確かになつみさんの事をもっと知りたいし、俺の事もなつみさんに話したいと思ってる。

さっき、なつみさんがここにいてくれたらって思った。怠くて仕方ないけどなつみさんが傍にいてくれたら元気が出る気がして。


母と話終わると俺はまた結局ソファーでうとうとしてしまって。母は見かねたのか部屋から掛け布団を持ってきてくれた。


「ちゃんと彼女を守ってあげるのよ。あとレディファーストを忘れずに。おやすみ」


重たくて仕方ない瞼を閉じると、なつみさんの顔が浮かんだ。バリバリ働いていて、いつも明るくて元気ななつみさん。でも本当は疲れてるし傷ついたりしてるから。俺がなつみさんを笑顔にさせられたらいいな。