「はぁ~、一途な子なのね。一年も追っかけるなんて。ホクちゃん、いい顔してると思ってたけどそんなにモテるなんて知らなかったわ」

「ばあちゃん、追いかけ回されるってすごい大変だと思うよ。中にはミーハーな人だっているだろうし。むしろ大半がそうかも知れないしね。目の保養的な」


なつみさんの言う通り、ほとんどの人がミーハーだと思う。だって実際に俺に告白してきたのは玉木だけだし。


「なつみ、協力してあげればいいじゃない」

「協力?」

「あんたがホクちゃんの彼女のフリでもしてやればいいのよ。ホクちゃんはあの子にまったく気がないんだから。諦めてくれれば万々歳なんでしょ?」

「それはそうですけど…」


玉木だって自分を好きになってくれる人と付き合った方がいいだろうし、俺も今日みたいに自分のテリトリーに入ってきてほしくない。好きな人ならもちろんいい。むしろ引き込みたくなるけど。


「なつみもいい事をしたらその分ちゃんと自分に返ってくるよ」

「…ていうか私、すごい目付けられた感じだったけど」

「目付けられましたね。俺がしくじったんで。すみません」


俺のついた小さな嘘。
本当に何であんな事を言っちゃったんだろう。

なつみさん、ごめんね。

でもこれが、俺となつみさんの始まりだった。