塩顔男子とバツイチ女子




「北斗ー!」


蒼のバカでかい声に右手を上げる。すでに優斗と玉木が着ていて、肉を焼き始めているようだった。


「お前おせーよ」

「バイトだったんだよ。優斗久しぶり」

「久しぶり。北斗、全然連絡よこさないもんな。いつぶり?夏休みに出かけて…そっから会ってないか」


夏休みに蒼と優斗とテーマパークに遊びに行った。俺はバイトがない日だから提出物でも書き上げようと思ってたのに前夜に誘われて、急遽遊びに行ったんだった。


「おい、」


いつの間にか蒼が隣に来て俺の腕を小突いてくる。優斗は笑顔でなつみさんを見ていた。

「市川なつみさん。これ、野菜とかおつまみの差し入れ貰った」

「こんばんは。市川です」

「能瀬蒼です。蒼でいいんで。お前、マジやるな。めっちゃ綺麗じゃん」


玉木に聞こえないようになのか、蒼はコソッと言った。なつみさんは今日もおめかししてる。細身のジーンズと白いブラウスに黒いゆったりしたニット。ブラウスの襟にキラキラした大ぶりのビジューが付いていて可愛い。モッズコートとピンクのスニーカーも合っている。髪の毛は少し巻いていて、緩めのポニーテール。


「初めまして、井村優斗です。蒼から聞いてたけど、いいじゃん。雰囲気が似合ってる」


この前、みすみさんのお店でもそう言われたけど。嘘を言わない二人だから、本当にそうなのかも知れないと思った。


「お、いっぱい入ってる。なつみさん、ありがとう」

「いいえ。大したものじゃないんだけど」