塩顔男子とバツイチ女子





人を見た目で判断してはいけない、否定からは何も生まれない―――よく俺の母親が言っている。
俺もその通りだと思う。実際俺はとっつきにくそう、冷静、冷めてるって言われてるけど、それは俺の事をよく知らない人が言うわけで。
蒼も然り。見た目がチャラチャラしていて、ノリも軽いからチャラ男だと思われがち。でも実際は勉強もバイトも真面目に頑張っていて、ちゃんとした将来の目標を持ってる。



「それとこの前、なつみさんをオバさん呼ばわりしてたけど。自分がその年齢になった時に自分をオバさんだって思える?全然知らないヤツにそう呼ばれたらどう思うの?後先考えずに言うヤツも俺は嫌いだ」

「相楽く―――」

「それからもう一つ。蒼―――能瀬が玉木に告白した事あるだろ。女の子なら誰でも良さそうな、合コン行きまくってるようなチャラチャラした人とは付き合いたくない。能瀬くんにはもっと合う人がいるってボロクソにフッた事、憶えてる?」


蒼は入学した頃から玉木の事を知っていて、可愛い可愛いと騒いでいた。そのうち玉木は俺に告白してきて、俺が断って。その前後に蒼は玉木に声をかけていたらしい。そしてボロクソにフラれた。


「だって私は相楽くんが―――」

「蒼の何を知ってるの?よくそんな上から言えたよね。確かに蒼はあんな見た目だしノリも軽いよ。でもそれが蒼の全てなのか、知らないだろ。玉木が俺の事をちゃんと見て好きになってくれた事はありがたいと思ってるよ。でもさっきも言ったけど、見た目で決めつけて判断したり、何も知らないのに根っから決めつけて否定するヤツは嫌いだから」


玉木の目から涙がこぼれた。本当に泣いているのか演技なのか俺には分からない。