あの嘘をついてから早一週間。


「北斗、最近付きまとわれてないじゃん」

「ん?」


学食で蒼に声をかけられた。


「ん?じゃねーよ。玉木、諦めたんじゃね?」

「あぁ…そういえば見かけないね」


それまでも特に気にしてなかったし。なつみさんに迷惑がかからなければそれでいいんだけど。昨日みすみさんのお店に行った時は、玉木は来てないって言ってたし。なつみさんもお店にはほとんど来ないらしいから、よっぽど偶然が重ならない限り接触する事はないだろう。



「何でそこまで冷めてるかね。お前、ホント不思議だよね。興味ないヤツにはとことん感情がないっていうか。俺とか優斗とか――仲いいヤツには普通にテンション上がるのに」



空いてる席に座ると、蒼が隣に並んで座る。

週に三日は朝から夜までビッシリ授業だから、お昼はとにかくお腹が空く。今日はトンカツ定食にした。


「まぁ高校の時からだから俺はすっかり慣れたけど」


蒼とは高校に入って知り合った。入学した時すでに蒼は金髪で、もちろん校則違反だからソッコー怒られてて。制服もいつも着崩していて、常に腰パン、ワイシャツのボタンも開いててネクタイの締め方も緩い。

『お前スカしてるよね、何でなの?』

そう声をかけられた事を憶えている。


「蒼、めっちゃ感じ悪かったけどね。俺の事スカしてるって決めつけて声かけてきて。こっちはそんなつもりないのに」

「いや、実際そうだったから。それに何つーか、何事も冷静に客観視してそうな目だったもん」