「顔に出るって言うじゃない?性格とか生き方とかそういうの。これで北斗くんがめっちゃ悪いヤツだったら詐欺師になれるよ」
さり気なく自分の存在を認めてくれるような言葉が嬉しい。でも一番詐欺師に向いているのは蒼だけどね。お喋りで話上手だし。優斗は嘘が下手、俺は無口すぎて…。
「飲み物持ってきたよー」
なつみさんの声がして振り返ると、ペットボトルのジュースやお茶、缶ビールをリビングのテーブルに並べている。間取りがどことなく、みすみさんの家と似ているような。
「祥太のジュースね」
幼児用のりんごジュースの紙パックにストローを挿すと、なつみさんは祥太くんに手渡した。祥太くんはちゃんと、ありがとうと言っている。
「香ちゃん、お皿どうするの?紙皿?プラスチックのもあるけど」
「紙皿!汚れたら交換出来るし」
奥から、紙皿や紙コップを持ったお母さんが出てきた。香さんはそれを受け取ると、圭さん達の方へ行ってしまって。お正月と同じ構図。見事な三角形。
「この前はすみませんでした。噛み付くような事ばかり言ってしまって」
「正直腹が立ったわ。何を言っても言い返してくるし、物怖じしないし。…それに、正論ばかりだったから」
あの時、思った事は全部言った。俺はどう思われても何を言われてもいい。だけどなつみさんを否定するような事は許せなかった。
「なつみと仲良くやってね。仕事ばっかりしてるから、迷惑かける事もあるかも知れないけど」
「それは全然構いません。なつみさんにしか出来ない仕事があるから、尊敬してます」
なつみさんは、言われた事がないから恥ずかしいと照れ笑いしていた。
なつみさんはなつみさんにしか出来ない仕事を、毎日精一杯頑張ってやってる。最高にかっこいいんだ。

