塩顔男子とバツイチ女子



「野菜はいくらでもあるもんね」

「朝採ってくりゃいいだろ。どうせ親父が畑出るし」

「あんたは出ないの」

「出るけど。だって昼にはみんな来るだろ?」

「その予定。駅まで迎えに行くから」


お昼前に駅で待ち合わせ。うちはとにかく遠い場所だから駅まで送り迎えする約束をした。お正月は迎えに行ってあげられなかったし。


「やっと見られるんだよね~、カッコイイ彼氏。しかもその友達もイケメンなんでしょ?わくわくしちゃう」

「俺の方が全然イケメンだけどね」


圭が自信満々にドヤ顔で言うから。私も香ちゃんもポカーンとしてしまって、そのまま聞かなかった事にした。


「何で黙んの?フツー何か言わない?」

「いや…よくそんな自信満々に言えるなって」

「圭の顔は毎日見てるからなぁ。私もたまには刺激が欲しくなるよ」


香ちゃんの発言に圭は浮気だと騒ぎ立てている。付き合いも長くて結婚して子どももいるのに、今も変わらずにちゃんと香ちゃんが好きなんだなぁ。
私は結婚してた時、気付かぬうちにそんな感情が薄れていたような気がする。

飲み物や調味料をカゴに入れると、次は祥太のお菓子選び。もうすぐ二歳だなんて子どもの成長は早いなぁ。ついこの前まで離乳食だったのに、今は普通に取り分けて食べられるし、お菓子も食べられる物が増えた。
祥太はこれがいいと言いながら、スナック菓子の袋を手にした。


「みんなお菓子食べるかな?買っとく?」

「北斗くんがお土産持って来てくれるって言ってたよ」


スイーツに詳しい蒼くんがいるから美味しいデザートを持って行くと言っていた。でも私もみんなにお土産を渡したいから、香ちゃんにちょっと手伝ってもらおう。