「姉ちゃん、ビールビール!」

「箱で買うの?!」

「当たり前じゃん。えっ、みんな飲まない?」

「飲まないね。あんただけだよ、大酒飲みなのは」

「マジかよ。飲めないなんて就職してから困るんじゃね?」


圭はカートの下にどしっと缶ビールの箱を置いた。圭が北斗くん達の進級を祝って週末に実家でバーベキューをしようと言い出したのだ。だから今日は買い出し。北斗くんとはちょこちょこ連絡を取っているらしい。


「それは分かんないけど。ていうか実家でやるなんて、よく反対されなかったね」

「母ちゃんのこと?北斗とか連れて来るって言ったけど別に何も。姉ちゃん、もう口出ししないって言われたんだろ。それに今回は姉ちゃんが彼氏を連れて来るわけじゃない。俺が北斗を誘って、たまたま姉ちゃんの都合がついただけ」

「まぁ、それはそうだね」


私は全然知らされてなくて、北斗くんからバーベキューに誘われた話を聞いてから圭に連絡をした。そしたらたまたま私が夜勤明けで休みの日で。


「お姉ちゃん!お肉どれくらいいる?」

「いっぱい食べると思うから、かなり買った方がいいと思う。祥太はおやつ買ったらいいよ」


北斗くんはスリムだけどよく食べる。一緒に食事に行っても美味しそうにモリモリ食べるから、それにつられて私も色々注文して食べるようになった。


「塊で肉買うなんて楽しいね」

「香ちゃんが料理上手だから助かるよ」

「そんな事ないよ。祥太が生まれてから色々作るようになったくらいで。下処理は前の日にやっておくから任せて」


牛肉豚肉鶏肉に、ウインナーやベーコンの塊。祥太はお気に入りのキャラクターの魚肉ソーセージの箱を手にしていた。