「俺はそれ、ちゃんと本命だけど」
「ありがとう」
フラれた頃の俺に教えてやりたい。いつかこういう日がちゃんと来るって。絶対に信じないだろうけど。
「蒼、今までずっと好きでいてくれてありがとう。これからもよろしくね。…カレカノとして」
「マジで?」
「マジで」
美白はくしゃっとした笑顔で言うから、それがたまらなく可愛くて。抱き上げた。
「ちょっと!降ろしてよ。恥ずかしい!」
「いいじゃん。気にすんな」
抱き上げたままクルクル回ると美白は大笑いして、俺もつられて笑う。やべー、こんなに幸せな気持ちになるっていつぶりだろう。北斗に色ボケなんて言ったけど、俺が色ボケじゃん。
美白を降ろすと、街中でホントに恥ずかしいと怒られた。
「美白が好きだよ。俺うるせーし口悪いし、見た目もこんなだけど、美白がピンチの時は助けるし、しんどい時は支える。女友達も多いけど、美白が嫌なら遊ばないし飲みに行かない。一緒に行きたいなら連れて行くし―――」
「待って待って。そんなのはいいの。蒼が誰とどこに行こうが、それは蒼の自由だよ。蒼じゃなくなっちゃう。蒼は変わらずにいて」
「嫌ならすぐ言えよ」
「分かってる」
喧嘩になっても、すぐに仲直りしよう。仲直りの後はちゃんと愛情表現をしよう。美白が一番だって、いつもちゃんと知っててほしいから。
「ずっと待っててくれてありがとう」
「俺、ここまで好きだったのって初めてかも知んない。やばいわ」
人生何が起きるか分かんねーな。今言えるのはとにかくバンザイの一言。
初めて美白の手を握ると、俺よりずっと小さかった。これからずっとこの手を離さないように、美白を大切にしよう。来年も美白にチョコを貰いたいから。