「俺はまだ誘わずに待ってるわけ。だってバレンタインにデートしようなんて誘ったらチョコ催促してるみたいじゃん?しかもこの前勢いで告っちゃったし。だからギリギリまで待って連絡がなければ誘う!」
昔からとにかく押して押して押しまくる蒼が堪えてるのかぁ。めちゃくちゃ本気なんだな。玉木の気持ちがちゃんと自分に向くように待ってるなんて。
「まー、蒼はもう一押しだろ。頑張れ。つか北斗、柔らかくなったよね」
「ん?」
「雰囲気がさ。すげー変わったわけじゃないけど、前よりは柔らかいんだよなぁ」
「色ボケだよ」
「色ボケなんてしてない」
蒼を睨みつけると、おちゃらけた感じでへーへーと返してきた。自分では雰囲気が変わったかどうかなんて分からないけど。色ボケなんてしてないし、母には普段と変わらなさすぎて本当に彼女がいるのかと疑われた。
「別にいいじゃん。お前、今までが冷めすぎなんだよ。競争心がないから何事にも熱くならないし、興味のない事に関してはとことん無。美白に追いかけ回されてた時だって興味がないから気にならない、だぜ?ようやく人並みになってきたと思えば」
「でも無の部分がなくなったら北斗じゃないよ。陰と陽があるからちょうどいいんじゃない?蒼はガンガンうるさい、俺もそれなりにうるさい、まぁ北斗も騒ぐ時は騒ぐけど、基本的には静かだから俺達の騒がしさを抑えてくれるしね」
優斗いいこと言う。陰と陽か。それぞれ生まれ持った性格があるけど、それを変えていくのは自分なり人との出会い。なつみさんによって知らない自分が出てくるのは大歓迎。
「お前、なかなか上手くまとめたね。なのに何でモテないの?」
「うるせーな。それは俺が一番知りたいよ!」
蒼は懲りないな。こうやって昔からいつも言い合いになる。それも嫌いじゃないけど。玉木と喧嘩になったら蒼は謝るのかなぁ。きっと謝るな。絶対、玉木の方が強そう。しばらく二人の言い合いを聞きながら、なつみさんへのプレゼントを考えた。

