「ばあちゃん、俺だって歳食ってるんだよ。まぁ田舎だからさ、しつこい事はあるよ。俺だって今ばあちゃんが言ったみたいに、あの圭が家継いで子どももいて…とか未だに言われる。別に悪い事なんか一つもしてなかったのに。ただそこら辺に溜まって話してたり、夜中出歩いたり、夜遊びもしたけどそんなの誰でも一度はやるじゃん。反抗期だってみんなあるし。母ちゃんには散々怒られたけど、周りから言われる自分の身にもなれって」


都会なら大した事なくても、ここら辺では情報が筒抜けになってしまうから。圭が高校時代に遊び歩いていた事も巡り巡って母の耳に入ったり、私も圭の行動について周りから、お姉ちゃんなんだからちゃんと見てやるんだよなんて言われたっけ。


「俺からしたら、そうやって言われる事すらウザかったからね」

「ウザいなんてよく言えるわね。あんたはやりたいようにやってきたんだから、それでいいだろうけど、私は学校から注意されるわ、あんたの友達の親に言われるわ、近所からは不良なんじゃないかって散々言われたんだから。躾がなってないって言われてるようなもんよ」

「そういうのがウザいっての。姉ちゃんだってそうじゃね?誰も親が望むように完璧には育たないし育てらんないの。みんな人格があるんだから。でもまぁそれを最初に作るのは親だよね。俺は祥太が自分と同じ事しても別に止めないよ。自分でやってみないと分からない事だってある。躾がなってないって言われるならそれは自分がやらなかった事なんだから認めるよ、俺は」


思わぬところで話が白熱している…。離婚した時みたく私が詰め寄られて終わるかと思ってたのに。


「母ちゃんは何が気に食わないの?嫁に出した娘が出戻ってきたこと?大学生と付き合い始めたこと?周りから何言われるかって昔からいっつも言ってるけど、離婚が恥ずかしいっていつの時代だよ。そう思うのって母ちゃんがどっかで、姉ちゃんを恥ずかしいと思ってるからじゃないの?俺はそれが一番恥ずかしいと思うけど」