「俺はいつでもなつみさんの味方です。さっきも言ったけど、なつみさんはなつみさんだから。バツがあっても無くても俺は好きです」


なつみさんは嬉しそうに笑顔になってくれた。
それだけで少しホッとする。

「ケーキ食べようか。お湯も沸いたし」

「なつみさんはコーヒー?」

「私は紅茶にする。北斗くんのお母さんが持たせてくれたやつ、紅茶が入ってたから」


母に持たされた紙袋の中を見ると確かに小さな紅茶の缶や、それよりも大きい縦長のキャラクター物の缶、それからクッキーの詰め合わせの袋とか色々な物が入っていた。


「…母ちゃん、こんなに詰め込んでたんだ」


昔からいつも、息子二人だから可愛い物が買えなくてつまらないと言っていたけれど。多分ウキウキしながら詰め込んだんだろうな…。そういえば昔はホワイトデーも母が張り切ってお返しを選んでいた。


「今度お返ししないとね」

「気にしなくて大丈夫。多分だけどウキウキしながら用意してた気がする。うちは男ばっかりだから」

「お母さんにお礼伝えてね」


食器棚の中からコーヒーカップとティーカップ、それからソーサーを出してくれて、なつみさんは缶の中からティーパックを選んでいる。セイロンティーの他に果物のフレーバーが三種類。こういうのもプレゼントにはいいんだな。俺は女性が喜ぶ物なんて知らないから憶えておこう。


「なつみさん、今日はありがとう。招待してくれて」

「私の方こそ、来てくれてありがとう。色んな話出来たね。母が来るとは思ってなかったけど」

「お母さんと何かあったら言って。俺が必要な時には呼んで。なつみさん、一人で抱え込まないでね」


俺が出て行くべき時があるなら、それはちゃんと行きたいから。なつみさんは苦笑いしながら頷いた。