なつみさんが作ってくれた料理はどれも美味しくて。テレビを見ながら年末年始の話もした。蒼と優斗と初詣に行って、何と蒼が二年連続の大吉、優斗が吉で俺が末吉だった事や、兄貴が元旦の朝に家の階段で滑って転げ落ちて腰を強打してみんなで大笑いした事、それからなつみさんのハードシフトの話も。
「そういえば、みすみさんはどこに行ってるんですか?」
「沖縄。明日帰ってくるんだけど、五泊六日だよ?いいよね。ばあちゃんの友達と三人で行ってるの。北斗くんにもお土産買ってくるって」
「俺にも」
「あ、ホクちゃんによろしくって」
沖縄かぁ。暖かいのかな?こっちも気温が上がって例年よりも暖かいお正月だけど。
「みすみさんによろしく伝えてください。またお店にも行くけど」
「伝えとく」
隣でなつみさんが笑ってて。つい数ヶ月に出会ったのにこうして今一緒にいるなんて本当に不思議だ。俺のついた嘘がキッカケで、その後に偶然会う事があって連絡先を交換して。
「北斗くんのお兄さんてどんな人?」
「俺と正反対。社交的だし、友達も多い。顔もあんまり似てないかな…。兄貴は醤油顔だからハッキリした顔で、中学からはサッカーやってたからモテてた」
俺も体を動かすのは嫌いじゃないけど、圧倒的に家にいる時間が多かった。本を読んだり絵を描いたり、時々ゲームもやって。今思えばそんな小学生がいたら俺でも心配する。振り返ってみると、もっと外で人と遊べよって言いたくなるような子どもだった。
兄貴は友達もいっぱいいて、友達のお母さんからも可愛がられるタイプで。サッカーもそこそこ上手かった。
「俺は本当に人と関わりがなかったから…学校で話す奴はいたけど、外で遊ぶって事もなかったし。今思うと変わった子どもだったなぁ」

